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新潟地方裁判所 昭和35年(ワ)227号 判決 1961年12月27日

原告 国

訴訟代理人 河津圭一 外五名

被告 石田重一郎

主文

訴外田村一宇(現姓早見)が昭和三三年五月八日別紙物件目録記載の各不動産につき、被告との間に売買名義でなした代物弁済契約は原告と被告との間においてこれを取り消す。被告は訴外田村一宇(現姓早見)に対し、別紙物件目録記載の各不動産につき、所有権移転登記手続をしなければならない。

訴訟費用は被告の負担とする。

事実

1、申立並びに主張

原告指定代理人は、主文同旨の判決を求め、その請求の原因として、

(一)  新潟市白山浦二丁目一一〇番地所在の訴外田村一宇は、昭和三三年五月八日当時において昭和三二年度分申告所得税額一二三、八〇〇〇円、同無申告加算税額三〇、七五〇円および利子税額二三、三三〇円合計一七七、八八〇円を滞納したものであり、そして、昭和三五年四月二〇日現在の滞納額は二一〇、三八〇円となることは次に示す右滞納税額の計算方式により明らかである。即ち、まず(イ)その加算税額について説明すれば、訴外田村一宇の本件滞納国税は、所得税法第四四条第四項、第四七条第一項および第二項による決定にかかる申告所得税の追徴税額であるところ、てれに対する無申告加算税額の算出方法は、第五六条第三項本文および同項第三号により、確定申告書の提出期限(法定納期限)の翌日から、当該決定に係る第四四条第七項の規定による通知(申告所得税の追徴税額決定通知)をなした当日までの期間に応じて、右決定にかかる追徴税額に一定の割合(期間が一ケ月以内のときは百分の一〇、一ケ月をこえ、二ケ月以内のときは百分の一五、二ケ月をこえ、三ケ月以内のときは、百分の二〇、三ケ月をこえるときは百分の二五)を乗じて計算するのであつて、本件の場合は、いずれもその期間が三ケ月をこえるときに相当するので、それぞれの右追徴税額たる所得税額に百分の二五の割合を乗じて計算することとなり、そして右計算方式にて計算すれば、前記四月二〇日現在の加算税額の算出額は別表第一、下欄の算出額欄に記載された数字のとおりとなり、又(ロ)利子税額についていえば、本件滞納国税は右(イ)項で述べたとおり、申告所得税の追徴税額であるから、利子税額の算出方法は所得税法第五四条第一項、同条第七項前段および第一項第二号により、法定納期限の翌日から納付の当日迄の期間に応じ、所得税額百円(同条第四項により、千円未満の端数は計算上切り捨てる)について一日三銭の割合を乗じて計算するところ、本件所得税額は一〇万円未満であるから、同条第八項により、簡易利子税額表(昭和二八年八月七日政令第一六六号簡易利子税額表および簡易延滞加算税額表に関する政令}を適用して計算することとなりこの方式によつて計算すれば、前記四月二〇日現在の利子税額の算出額は、別表第二、下欄の算出額欄に記載された数字のとおりとなり、なお又(ハ)延滞加算税額についていえば、本件滞納国税は、いずれも旧国税徴収法施行中に督促状を発付したものであるから、延滞加算税額は、旧国税徴収法第九条第三項ないし第九項の規定により、督促状の指定期限の翌日から、納付の日までの期間に応じ右(ロ)項の利子税額の計算と同一の計算方法により(この場合は、督促状発付時の滞納額の百分の五の割合を乗じて計算した金額が最高極度額になる。)計算することとなるのであるが、この方式により算出すれば前記四月二〇日現在の延滞加算税額の算出額は、別表第三、最下欄の要徴収金額欄に記載された数字のとおりとなるのである。そして本件昭和三二年度の本税額計一二三、八〇〇円に右(イ)、(ロ)、(ハ)記載の各算出額(別表第一、第二の各最下欄の算出数字および同第三最下欄の数字)加算した合計額(二一〇三八〇円)が前記昭和三五年四月二〇日当時の前記訴外者の滞納額である。

(二)、しかるに、右訴外者の親権者(父)早見喜一郎および同(母)田村ヨイ(現姓早見)は、右滞納の事実は勿論のこと右訴外者が、別紙目録記載の不動産および外一筆の宅地を除いては、他に右税金を完納するに足る資産を有しないことをも熟知しながら、所謂詐害の意思をもつて昭和三三年五月八日、右訴外人の代理人として、右物件(前記一筆の宅地を含む)を被告に対し、金五〇万円の売買名義で譲渡し、同月一〇日所有権移転の登記をすませた。ところで、右譲渡に至つた事情および右譲渡の実体を略述すれば次のとおりである。即ち、(1) 右訴外早見喜一郎は事業家であつて、種々の事業に従事していたが、そのうちの一つ新潟県製薬株式会社の金策めため、第四銀行に対する債務の保証をし、右昭和二五年三月二五日自己所有の不動産のうえに根抵当権を設定したところ、右会社が間もなく倒産したため、昭和二七、八年頃右銀行から、手形金返還請求訴訟を起されさきに昭和二五年三月一四日頃訴外田村一宇(現姓早見以下同様につき省略)に譲渡してあつた本件不動産外若干の不動産も仮処分を受けるに至つたところ、右訴訟につき、昭和三一年和解が成立し、早」見は約四〇〇万円を支払うこととなり、右抵当物件および、右田村一宇名義の物件中、本件物件を除くものを換金してこれが弁済を計つたがなお不足のため、被告の助力を仰ぐに至つた。(2) 被告は、田村ヨイ(現姓早見)の縁者で(その母が右ヨイと従姉妹)かつ、右早見喜一郎が代表取締役をしていた新潟輸出玩具株式会社に昭和二八年頃から雇われ、また現在は、右喜一郎を代表取締役とする早見産業株式会社の監査役をしているものであつて早見方には年来親しく出入していたものであつたから、右喜一郎の依頼により同人の債務の処理に当つたばかりか、最後には自己の資金三〇万円をもつて右銀行に対する決済をつけた。(3) そこで、被告は自己の支出した右金員について、早見喜一郎から代償を受けることを欲し、その結果右早見は、右代償として田村一宇名義の本件各不動産および外一筆の土地(新潟市白山浦二丁目一一四番の一〇宅地一七坪八合四勺)を被告に前記の如く金五〇万円の売買名義で譲渡するに至つたものである。

(三)、よつて原告は、前記租税債権について、訴外者田村一宇に対し滞納処分を執行せんとするも、同人には資力がないから、国税徴収法第一七八条にもとづいて、訴外者と被告との間になされた前記売買名義の譲渡契約(但し、別紙目録記載の不動産についてのみ)を取り消すとともに、被告に対し、右不動産についてなされた被告のための所有権移転登記の抹消を求めようとするものであるが、本件不動産については、被告において、前記一七坪八合四勺の土地と共に昭和三四年七月六日訴外三浦キノに対し、根抵当権を設定しその登記を経由しているので、前記所有権移転登記の抹消に代えて、訴外田村一宇に対する所有権移転登記手続を求める。と述べ、なお、被告の抗弁事実に対し、被告主張の事実は否認する。被告は本件訴外者に対する本件滞納金の課税処分についても、同人のため、早見喜一郎の依頼によつて、異議申立の手続をしているものであり、従つて被告は、右訴外者が本件譲渡行為によつて滞納処分を免れることはこれを了知していたものであると陳述した。

被告訴訟代理人は請求棄却の判決を求め、答弁として原告主張の(一)の事実中、原告主張の訴外者について原告主張の如き税額の滞納があつたことは不知、原告主張の税額の計算方式については、これを争う。同(二)の事実中、訴外田村ヨイこと早見ヨイが、原告主張の訴外者の母であり、その親権者であることおよび原告主張の各物件が、原告主張の日に原告主張の訴外者から、被告に譲渡され、その結果被告にその所有権が移転し、そして原告主張の日に右各物件につき被告のための所有権移転登記を経由したこと、被告が、右田村ヨイこと早見ヨイとの間に原告主張の如き身分関係にあり、かつ本件訴外者の父早見喜一郎とも原告主張のとおりの交際関係があつて、本件訴外者の家にも年来親しく出入りしていたことは認めるが、その余の事実は争う。早見喜一郎は訴外者の親権者ではない。また訴外田村一宇の親権者母ヨイには、詐害の認識がなかつたことは、右ヨイが昭和三二年一〇月九日、右一宇のため新潟市上所島字下居浦一一三四番一家屋番号上所島五三番木造瓦葺三階建共同住宅一棟建坪一四〇坪外二階一二〇坪参階一〇坪の家屋を買つてやつていた事実があるから明らかである。蓋し詐害の認識がある位なら、右の家屋は一宇には買つてやらなかつたであろう。本件不動産が、最後の不動産である認識も田村ヨイにはなかつた。そして、右一宇の父早見喜一郎にも詐害の認識がなかつたことは、右のヨイについての事情から察知出来る。同(三)の事実中、原告主張の根抵当権設定の事実は認め、その余は争うと述べ、なお抗弁として次のとおり陳述した。即ち、被告に詐害の認識がなかつた事はより明白である。蓋し右訴外者一宇は、本件譲渡行為当時相当の財産を有していたのであり、被告が本件不動産を右一宇より買うに当つて、これが当時唯一の不動産である事など知る由がない。なお本件国の債権は一個の不動産でも残つておれば完済しうる程度の金額にすぎない。

2、証拠<省略>

理由

原告主張の各不動産が、原告主張の日に、訴外田村一宇から、被告に対して譲渡されたこと、および右田村一宇は右譲渡の当時未成年であり、従つて右譲渡も、同人の親権者を通じて行われたこと、被告が、右各不動産につき、原告主張の日に、自己名義の所有権移転登記を経由したことはいずれも当事者間に争いがない。そして右訴外者の親権者の一人が訴外田村ヨイこと早見ヨイであることは当事者間に争いがなく、また成立に争いなき甲第六号証、同第七号証の各記載および、日本国憲法の施行に伴う民法の応急的措置に関する法律第六条並びに右付則第一四条によれば、訴外早見喜一郎も亦右応急措置法施行の当時は、右訴外者の親権者であつたことは明らかであるから、その後右法規は失当したとはいえ、各関係法規の解釈上特別の事情の認められないかぎり右喜一郎は新民法施行後もなお親権者であつたものと認められるから本件係争の譲渡行為がなされた前記日時当時、右喜一郎も田村一宇の親権者であつたものと認められ右認定を左右するに足る証拠はない(尤も成立に争いなき乙第一号証の売買契約書によれば本件係争の各物件の譲渡行為がなされる以前に停止条件付で売買された、後述の新潟市上所島の不動産物件についての契約締結の際は、右一宇の親権者としては右喜一郎の名が記載されていないことが認められるとはいえ、親権の共同行使は、親権内容の行使が、父母共同の意思で決定されることを意味し、必ずしも代理してなされる行為が父母双方の名義であることも必要がなく、いやしく毛他方の同意があるかぎり、一方のみの名義でなされる場合もあり得るのであるから、右乙号証の記載のみによつては直ちに前記認定を動かすに足りないものというべきである。)そして、成立に争いがない甲第一〇号証の記載によれば、本件係争物件の譲渡行為が、原告主張のヨイ、並びに喜一郎の両親権者を通じて行われたことが認められ、しかも成立に争いなき甲第一号証の一および二によれば、右譲渡行為当時、右訴外者一宇には、昭和三二年分の申告加算税七四、一〇〇円並びに四九、七〇〇円合計一二三、八〇〇円の滞納があつたことが認められ、なお外に同無申告加算税三〇、七五〇円利子加算税等二三、三三〇円の滞納があつたことは、これが根拠法令たる所得税法その他の関係法規の各条文に徴し、正当であることが明らかな、原告主張の当該各計算方式に基づく計算上明白であるから、結局右譲渡行為当時、右訴外者は、特別の事情の認められない本件においては、以上合計一七七、八八〇円の国税を滞納していたことが認められる。よつてまず、右譲渡行為当時右各親権者に原告主張の詐害の意思があつたか如何かの点について(本件の如き債務者が未成年者である場合、詐害の意思の有無については、その法定代理人の意思を基準とすべきことは、民法第一〇一条第一項の規定に徴し、明かである。)審究すると、成立に争いなき甲第一三号証、同第一四号証および証人早見喜一郎(第一回)、同田村ヨイこと早見ヨイの各証言を綜合すると、右親権者両名は、本件係争の譲渡行為をした当時、いずれも右国税滞納の事実を知つていたことが認められ、そして、成立に争いなき、甲第九号証によれば、右訴外田村一宇は、右譲渡行為当時、本件譲渡の対象となつた別紙目録記載の各不動産外一筆の宅地(白山浦二丁目一一四番の一〇宅地一七坪八合四勺)以外には、不動産を所有していなかつたことも亦認定される。(尤も被告は右各不動産以外にも、当時、被告主張の上所島の家屋を、右訴外者において所有していた旨主張し、そして成立に争いなき乙第一号証並びに証人早見喜一郎同田村ヨイこと早見ヨイの各証言中には、一部右被告の主張に副う部分があるが右は成立に争いなき甲第一七号証の右物件についての登記簿謄本の記載および証人後藤宏四郎、同小宮重一の各証言と対照すると措信しがたいばかりか、かえつて右の各証拠によれば、右物件は、右訴外田村一宇が停止条件付売買によつてこれを元の所有者である小宮重一から買受けこれが仮登記を経由した昭和三二年一〇月九日以前に、右後藤宏四郎において、小宮から買受けて、既にその仮登記を了し、その後昭和三二年一〇月一六日これが所有権移転の登記を経由していることが認められ、右事実によれば本件係争の譲渡行為当時の右物件の所有者は、右後藤であつたことが明白であるから右被告の主張が理由がないことは明らかである。)そして右認定の事実に徴すれば特別の事情のないかぎり、前記各親権者にはいずれも右詐害の意思があつたものと推認されざるを得ないものというべきである。よつて進んで、右特別の事情がありたか如何かおよび右譲渡行為の受益者である被告において右譲受けの当時詐害の認識がなかつたか如何かの点について考察すると、被告が訴外田村一宇の母ヨイとの間に原告主張の如き身分関係があり、かつ右一宇の父喜一郎とも原告主張のとおりの交際関係があつて、右一宇の家にも本件取消請求の対象となつた譲渡行為の日以前から、親しく出入りしていたことはいずれも当事者間に争いがなく、また、成立に争いなき、甲第一一号証、同第一三号証、同第一四号証を綜合すると、本件取消請求の対象となつた各不動産についての譲渡行為の事情および右譲渡行為の実体は、原告主張の(二)の(1) (2) (但し前記自白部分の事実を除く)および(3) のとおりであることが認められ、右認定を動かすに足る程の証拠はない。そして右認定の各事実に徴すれば、本件譲渡行為の実体は被告が右喜一郎に対して有する約三〇万円に上る既存債権(一種の求償権)についての一種の代物弁済であつて、登記手続上乃至は右当事者の法律知識の不足その他後記認定の事情等の諸事情から金五〇万円の売買名義を使用して成立に争いなき甲第一〇号証の売渡証書を作成したことが明らかであるものの他方既に認定の、被告と本件債務者の親権者等との身分関係、交際関係並びに成立に争いなき甲第一二号証の一、二、同第一一号証、同第一四号証、同第二五号証並びに被告本人尋問の結果を綜合すると、被告は、本件債務者一宇の、前記国税滞納の事実を充分認識していたばかりか、前記喜一郎に頼まれて、これが再調査の申請をもしたことが認められるのであるから、右認定の各事実に徴すれば、本件不動産の譲渡行為はただ単なる既存債務の弁済のためにしたことに止まらず、右各親権者と被告との通謀により、本件債権者たる国を害する目的でもなしたことが認められ、右認定を動かすに足る程の証拠はない(被告本人尋問の結果等には、右認定に反する供述部分もあるが、措信するに足りない)。これを要するに、前記各親権者の詐害の意思を否定すべき特別の事情がなかつたことは勿論、被告も亦譲受け当時善意でなかつたものといわなければならず、従つて本件各不動産の譲渡行為は特別の事情のないかぎり原告と被告との間において取り消しの対象となり得るものといわなければならない。

ところで、国税徴収法第一七八条の準用する民法第四二四条第一項所定の取り消し請求の範囲は、同条所定の債権者が、右取り消しの対象となるべき法律行為がなされた当時において有する、債権額を標準とすべきであつて、右法律行為のなされた以後口頭弁論終結のときまでに発生した遅延利息を加算した債権額をもつてその標準とすべきではないと解すべきであり、このことは国税徴収法第一七八条に基き取り消し請求をすべき時も同様であると解すべきところ、本件において取り消し請求の標準となるべき国の債務者一宇に対する債権額は、前記認定のとおり、一七七、八八〇円であり、従つて本件取り消し請求も原則として、右債権額の限度に止むべきところ、本件取り消し請求の対象となつた代物弁済契約の目的物の価格は、成立に争いなき甲第一五号証、同第一六号証の一、二、証人岩崎雅彦の証言を綜合すれば、建物の評価価格が一六九、〇二〇円宅地四一坪二合五勺の価格が約六三三、〇〇〇円となつて、一見遙かに右債権額を上廻るが如きものの、右各不動産並びに本件取り消し請求の対象から除外された一七坪八合四勺の宅地(右宅地も一括して代物弁済の対象とされたことは当事者間に争いがない)には、原告主張の日に原告主張の訴外者のために一括して根抵当権が設定されるに至つたことは当事者間に争いがなく、そして成立に争いがないところの甲第四号証乃至第六号証の各記載並びに証人岩崎雅彦の証言を綜合すれば、右各物件の負担する共同抵当権の債権額は昭和三六年一一月二八日の本件口頭弁論終結当時(このことは記録に徴し明らかである)においては元本五〇万円利息並びに遅延損害金二二万七、五〇〇円以上に達することが認められ、そして、共同抵当権者は、右の各担保物件について同時に又は、そのうちのいずれかを選択して、競売の申立をすることが自由であることは民法第三九二条第一、二項の決意に徴し明らかであることおよび一般に抵当権の付着する不動産は公売に当つても、実際の価格よりしばしば安く売買されることは公知の事実であること、その他右物件の価格変動等一切の事情を考慮すれば、別紙目録記載の不動産についてなされた本件債務者と被告間の代物弁済契約は、右債権額に拘らずその全部について、原、被告間において取り消し得るものと解するを相当とする。そしてまた、右不動産につきなさーれたところの被告のための、所有権移転登記は、右登記の原因となつた売買名義の代物弁済契約がその全部にわたつて取り消される以上、本来ならば、抹消さるべきものであるが、(民法四二四条の取り消し権の相対的性質に鑑みたとえ右取り消し権の対象とされた不動産につき、善意の抵当権者の登記がなされていても、右抹消によつて右抵当権設定登記が影響を受けないものと解すべきである。)、右抹消に代えて、被告より債務者一宇に対し、所有権移転登記を請求することも亦、可能であると解すべきこと近時の判例理論に徴し明らかなものというべきであるから本件原告の請求中この部分の請求も亦理由があるものといわなければならない。蓋しかかる所有権移転登記も亦当該不動産に関する現在の真実の権利状態を公示し登記の立法上の目的を達せしめるからである。よつて原告の本訴請求はすべて理由があるから、これを認容することとし(なお、付言すれば本件債務者の氏は、本件口頭弁論終結当時早見となつたとみるべきことは、証入田村ヨイこと早見ヨイの証言並びに昭和三五年一二月一六日民甲三〇九一号通達参照)、訴訟費用の負担につき、民事訴訟法第八九条を各適用して、よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 中谷敬吉)

別紙目録 <省略>

別表第一 無申告加算税額計算書 <省略>

別表第二 利子税額計算書 <省略>

別表第三 延滞加算税計算書 <省略>

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